Allofmp3の“閉鎖”に思う
すでにあちこちで紹介されているが、ロシアの音楽ダウンロード・サイトとして一世を風靡したAllofmp3が、ついに閉鎖したようだ。面倒くさくて詳しい経緯はまったく追っていなかったが、個人的には「そうなってしまったものは仕方がない」としか言いようがない。それはそれで、ギョーカイが出した 1つの回答なのだろうから。
ただ、今回の件で気になったのは、Allofmp3を目の敵にしてきたRIAA(米国レコード協会)およびそのバックにいる米国政府の対応だった。表玄関から争っても埒が明かないと思ったか、決済機関に圧力をかけてAllofmp3への送金をやめさせるという手に打って出た。マフィアの資金源を断つかのように。
これによって、まずはPayPal経由の入金が真っ先に打ち切られ、程なくしてVISAやMasterなどの主要クレジットカード会社からの入金もできなくなった。今回の閉鎖の理由としては、表向きには「WTO加盟に伴うロシア政府からの要請」ということなのかもしれないが、資金ルートを断たれた痛手がかなりのものであったことは想像に難くない。
今回のケースは、何らかのかたちで今後のケーススタディになるのだろう。どっかの業界団体が政府にロビイングを行いそれなりの支持を取りつければ、どっかの国のどっかの企業が行っている何がしかのWebサイトのビジネスを簡単に潰せてしまうということが改めて証明されたわけだから。世界のカネを動きを押さえている米国だから出来る話であるとも言えるけれど。
別にAllofmp3の肩を持つつもりはないが、「合法か違法なんて面倒な話はさておき、カネの流れを止めちまえ」的なこうした動きを見せられると、一般消費者としてはやや引く。今後はきっと、こうした話題にISP側の動きも加わってきて、状況がさらに混沌とするのだろう。
リアル・マネーを前にしては、「ネットの中立性」など単なるファンタジーでしかないのかもしれない。
要らねえモン同士の物々交換
「日本初の音楽CD交換コミュニティ」と銘打たれてオープンしたdiglog。着想はなかなか面白いと思うので期待しているのだが、現状では正直今ひとつといった印象だ。既存の音楽産業に配慮しているからなのか、運営者自身がアフィリで稼ぎたいと思っているからなのかは知らないが、微妙に思い切りに欠けているように感じる。
現状でユーザーが公開しているリストがろくなもんじゃないとか、そのあたりは致し方ないとしても、「譲ってもいいよ」というモノ同士を交換しあうという運用スタイルそのものが、どうもモヤモヤする。そのへんの「ゆるさ」を敢えてねらっているのかとも思うが、結局のところ、そのゆるさがコアなファンを遠ざけてしまうのではないかという気がしてならない。
もしかして、くだらない作品がチャートの上位を占める日本の音楽シーンに対するアンチテーゼ(=メジャーどころは金払ってまで聴く必要なし)なのかな。
「もう要らない」ってモノじゃなく、「手放したくない」ってモノを流通させる手はないものだろうか。難しいのは百も承知だが。このサービスに限ったことではないが、最近のネットを見ていると、本当に必要な情報なりモノなりはむしろ自分からどんどん遠ざかっているような感覚を覚える。その1つ下の「あってもいいが、なくても困らないモノ」が大量に流通しているような感じ。
そういうモンでしょと言われてしまえばそれまでだけど。
iPod+Rockbox
つい先日、デジタル・オーディオ・プレイヤー用のオープンソース・ファームウェア「Rockbox」の存在を知り、机の引き出しで眠っていたiPod photoを取り出して早速インストールした。
Rockbox – Open Source Jukebox Firmware
確かに評判どおり、音の抜けが格段に違う。左右の音を若干クロスさせてスピーカーの音に近づけるというCrossfeedや、かなり詳細な設定が可能なイコライザーのお陰もあって、好みの音、音場が比較的手軽に手に入れられる。これはちょっとスゴいかもしれない。
ただし、欲張ってあれもこれもと設定をいじると、デコードの性能が追いつかないのか、音飛びが発生しやすくなる。それに、バッテリーの減りの早さも驚異的だ。
FAT32フォーマットのプレイヤーでしか使えないので、Macユーザーにはちょっと不便かもしれない。本家のマニュアルには、Mac OS X上でiPodを初期化する方法が書いてあるが、わたしの場合はどうもうまくいかず、職場の同僚のWin機で初期化をしてもらった後、Rockboxを突っ込んだ。
インストールは、公式サイトで配布されているiPodPatcherを使えば別に難しくないし、気に入らなければいつでも純正ファームに戻すことができる。
長らくご無沙汰だったiPodだが、これでまたちょくちょく引っ張り出すことになりそうだ。

起動中。。。

デフォルトのテーマもスパルタンで悪くないが。。。

こういうのも悪くない。
もし、川内康範が戦略的に振る舞っていたとしたら……
森進一の『おふくろさん』を巡る騒動は、さっぱり訳が分からない。そもそも法的に議論するようなものなのか。狭い世界で「先生」などと持ち上げられている人間がその権威をタテにして、「気に食わねえ。歌わせてやらねえ」と騒いでいるだけじゃないのか。
そう言いつつ、ふと別のストーリーが頭をよぎる。
* * *
これはきっと、川内康範が彼なりのやり方で、著作権法が抱える問題点を世に知らしめようとしているのだ。わたしの耳には、彼のこんな声が聞こえる。
「ほーらね、こんな風に著作権者は守られてるんですよ」
「本人が死んでも遺族に権利が残るんですよ。しかもその保護期間を70年にしようなどと言ってるヤツがいるんですよ」
「その理念はともかく、音楽業界に関しては、その運用のなされ方はこんなヒドイんですよ
そうだ。きっとそうだ。
* * *
ま、どーでもいいや。勝手にやってくれ。
オリコン訴訟問題とか
例のオリコン訴訟問題。どうやら烏賀陽氏は反訴するらしい。
音楽配信メモ オリコン訴訟問題で烏賀陽氏が株式会社オリコンに対して反訴を行う:
この問題を語るときに難しいのは、この訴訟の本質が何なのかということが人によって受け取り方が違うということだ。もうちょっと具体的にいうと、この訴訟が行われたこと自体を「言論の自由への挑戦」と捉えるかどうか。これが立場や考え方によって本当にバラバラなのだ。
烏賀陽氏の当面の目標は、まずは裁判に勝つことであるという。今回の訴訟はフリーランスの問題、音楽業界の問題を超えて、憲法で謳っている言論の自由への挑戦行為であるから、身体を張ってでもくいとめると現在の心境を語っていた。
この件に関して、事実関係をまったく無視して個人的な見解を言えば、まず大前提として、(仮にその主張が客観的に見て正しいものであったとしても)オリコンの提訴はきわめて愚かな行為であるということ。そしてもう1つは、取材ターゲットから訴訟に持ち込まれてしまった時点で、烏賀陽氏側にも一定の非はあるだろうということ。
それにしても、日本相撲協会の一件といい、最近、ジャーナリズムに絡む裁判ネタが多いなあ。立場上、書き手側に肩入れしたくなるのだけれど、はたしてこれが本当に「言論弾圧」なのか聞かれると、首をかしげたくなるところもある。
確かに最近、企業相手の取材などは少しずつやりにくくなっている。多くの企業がコーポレート・ガバナンスやIRの観点からメディアとの接点をできるだけ減らそうという傾向にあるからだ。広報のチェックもそれなりに厳しくなっている。そりゃ、彼らの本音としては、良い姿だけ書いてほしいわけで。
ただ、そんな状況の中でも、話してくれる人は話してくれるし、書きたいこともそれなりに書ける。あえて100を書き、80を引っ込めて20を残すとか。取材しにくくはなったけど、工夫すればなんとかなる部分も多い。
結局、書き手がそれなりに信頼されていて、ちゃんと裏が取れている記事であれば、相手もそう変なマネはできないのではないだろうか。少なくともわたしはそう思いたい。
ジャーナリストが企業と戦って勝てる武器があるとすれば、それは膨大な取材に裏づけられた情報しかないと思う。烏賀陽さんにはぜひ、感情ではなく情報で戦ってもらいたいと強く願う。
コンテンツ業界の交渉能力やいかに
以前から噂になっていたが、YouTubeの幹部がいよいよ訪日し、JASRACやコンテンツ業者と交渉を行うらしい。
経緯については、以下のページに詳しく説明されている。
■ maclalalaweblog: YouTube のトップが日本へ:
日本発の世界ニュースが少ない中で、この交渉結果は世界的な注目を浴びることになるのではないだろうか。
まったくもって同感。弱い者には徹底的に強く出るJASRACが、時代の寵児であるYouTubeの幹部相手にはたしてどこまでの交渉力を発揮できるか。どんな要求を突きつけられるか。これは見ものだ。
別にYouTubeに媚を売る必要はまったくないと思うけど、かといって「けしからん」と叱り飛ばしてばかりいても能がないものね。
少なくとも、世界中の嘲笑を受けるようなマネだけは慎んでいただきたいが……。
「ウタ100」だそうな
音楽に自由を!
音楽配信メモさんに次のようなエントリーが出ていた。ジャーナリスト烏賀陽弘道さんの悲痛な叫びが聞こえてくる。
オリコンが自分たちに都合の悪い記事を書いたジャーナリストを潰すべく高額訴訟を起こす:
緊急事態が起きました。どうか、みなさんのお知恵、お力を貸してください。記事にしてください。ブログに書いてください。ウエブサイトに載せてください。メールを転送してください。言いふらしてください。
05 年12月13日、月刊誌「サイゾー」編集部に損害賠償訴訟の訴状が送られてきました。原告は、音楽ヒットチャートでは知らない人のない巨大独占企業「オリコン」。その企業が、烏賀陽弘道という一個人に対して、5000万円という巨額の損害賠償金を支払うよう求める民事訴訟を東京地裁に起こしたのです。
オリコンというと、どうしてもニコニコして夕ニャンなどに出演していた故小池聰行さんの顔が真っ先に思い浮んでしまうのだが(古いか)、昨今のぎすぎすした日本の音楽シーンを反映するかのように、なりふり構わず既得権を守ろうと動き出したらしい。
著作権問題といい、こういった馬鹿げた損害賠償請求といい、業界に音楽を愛する人がいかに少なくなっているかがしのばれる。
ギョーカイ非依存の音楽雑誌、マジでやりたくなってきた(まったくの畑違いだけど)。
allofmp3の値上げ
先日、急にThe Clashの『Sandinista!』が聴きたくなり、allofmp3を覗いた。CDも持っているんだけど、最近こういうときはもっぱらこのサイトにお世話になることが多い。自分でエンコードすればタダなのだが、どうも面倒臭くて。。。
だが、サイトに行くと、どうも様子がおかしい。値段が6.15ドル(!)もする。案の定値上げされてしまったようだ。2セント/MBから3セント/MBに。『Sandinista!』 は全36曲、144分という大作なので、値段変動の影響をもろに受ける。これでは、レンタルより高い。
結局、allofmp3での購入はあきらめ、時間のあるときに自宅でエンコードすることにした(ケチ)。
実は値上げは今回に限った話ではなく、2年近く前にも1度行われたことがある(思えば、それ以前は1セント/MBという“極楽価格”だった)。
allofmp3をはじめとするロシアのダウンロード・サイトは、今や世界の音楽産業から目の敵にされているから、いつまでもグレーゾーンにとどまって商売を続けていくわけにはいかなくなったということか。。。
これからは無駄遣いを減らさなければ。
しかし、 この値段だと、さすがにロシア国内のリスナーは苦しいのではないかなあ。
10年ぶりのLemonheads
取材の合間にふらっと立ち寄ったCDショップで見かけたThe Lemonheadsの新作。ジャケだけ見ると、まるで80年代の粗悪なブートレッグのようだ。とはいえ、10年振りの新作ということで、とりもなおさず購入。
まず印象に残ったのはイヴァン・ダンドゥの声。良くも悪くも歳を重ねたんだなと思う。反面、バックは依然として90年代前半のオルタナ全盛期の匂いを引きずっているところがあって、不思議なバランスだ。それもあって、余計にイヴァンの声の変化が目立つのかもしれない。聴いているうちに、「自分もいろいろあったなあ、この10年」と感慨に耽ってしまった。
この人たちは、音という面では若い頃からほとんどアクがなく、イヴァンのパーソナリティと歌心で支持されてきたバンドだと認識していたが、あらためて聴いてみると、やはりそうだと感じる。
10年歳を重ねた等身大のイヴァン・ダンドゥ。そこから「10年ぶりだから」というような気合いはほとんど感じられない。全11曲34分。パッケージングもライトだ。だけど、中途半端にトンがるよりこっちのほうがいいかもしれない。これから先も歳を重ねたなりの歌心をちょくちょく披露してもらいたいものだ。

“The Lemonheads” (The Lemonheads)
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