ストリート・ビューに対する嫌悪感は、民主社会への恐れの表出でもある
Googleのストリート・ビューに対する議論がなかなか収束しない。否定派の意見にも一理あると思うけれど、個人的には、この種の問題に対して「どちらが正しいのか」的な議論はとっくに決着についたものだと思っていたので、やや意外に感じる。
乱暴に言ってしまえば、「今になってプライバシー問題を盾に反対を唱えるなら、なぜもっと早い時期に声を上げないのか」ということ。ちょっと考えれば、いまの情報化社会がそういう方向に向かっているのは自明だし、さらに言えば、我々はプラス側の恩恵をすでに十分に享受してしまってもいる。
食品偽装問題のときにも同種の問題を感じて少し書いたし、それ以外にも後期高齢者医療制度だとか雇用問題だとかを巡ってもそう感じるのだが、少し立ち止まって考えれば自明であるはずのことが実際に明るみに出たときの過敏な反応には、かえって不安を覚えてしまう。
プライバシーの問題で言えば、例えば、テレビの事件報道などで、最近頻繁に放送されるようになった監視カメラの映像。あんなもののほうが、よほど気味が悪いと思わないだろうか?
いま人気のiPhoneだってわからないよ。個体識別番号とインターネットへのアクセス履歴と位置情報をあれほどシームレスにリンクさせられる端末はこれまでなかったのだから。
もしかしたら、情報入手の経路が広がるなかで、我々の反応は知らず知らずのうちに即時的になってしまっているのだろうか。
それからもう1つ。ストリートビューに対する拒否反応に接して残念に思うのは、その背後に「だれもに見られるのはイヤ。でも、お上がこっそり監視するのはOK」というような意識が見え隠れすることだ。
そんな状態で、いったいだれが中国を嗤えるというのだろうか。
もっとも、わたしもGoogleのサービスに問題がまったくないとは思わない。だが、あまりにナイーブな反応を続けていると、昨今のネット規制議論などとも絡んで、ちょっと厄介な問題に発展するのではないかと思うのだが。
Webメディアという名の幻影
最近、当ブログを更新する機会がめっきり減ってしまっている。理由はいたって単純。ここのところ、新しいWebサイトの構築がメインの仕事になってしまっているからだ。
暇を見つけては組み上がったシステムをチェックし、バグ出しやフィードバックを行い、戻ってきた修正をまたチェック──といった作業を繰り返していると、どうしてもWebブラウザから解放されたいという欲求が出てきてしまう。最近では、ブログの更新はおろかRSSリーダーのチェックさえ満足にできなくなってしまった。
Webは確かにスゴイのだろう。出版の世界にいる人間も、その枠組みの中でいかに儲けるかを絶えず考えなければならない時代にとっくに入っている。だが、Webブラウザの世界で完結するビジネス・モデルを描こうとすると、現時点では「自由」より「制約」のほうが遥かに大きいと痛感させられる。情報を売ろうと考えた途端に、お客さんを「お迎えする」インフラとしてWebブラウザには決定的なモノが欠けていることを思い知らされる毎日だ。
今後、クライアント・サイドのブレークスルーもそれなりにあるだろうし、その恩恵をいち早く得るべく、大手IT企業に寄りかかって商売しようとするメディアも増えている。ただ、そういう光景がテレビ業界の劣化コピーと映ってしまうのは気のせいか。
情報を使って情報以外の価値を売りたい。逆説的だけど、いまはそう考えながら仕事をしている。
Allofmp3の“閉鎖”に思う
すでにあちこちで紹介されているが、ロシアの音楽ダウンロード・サイトとして一世を風靡したAllofmp3が、ついに閉鎖したようだ。面倒くさくて詳しい経緯はまったく追っていなかったが、個人的には「そうなってしまったものは仕方がない」としか言いようがない。それはそれで、ギョーカイが出した 1つの回答なのだろうから。
ただ、今回の件で気になったのは、Allofmp3を目の敵にしてきたRIAA(米国レコード協会)およびそのバックにいる米国政府の対応だった。表玄関から争っても埒が明かないと思ったか、決済機関に圧力をかけてAllofmp3への送金をやめさせるという手に打って出た。マフィアの資金源を断つかのように。
これによって、まずはPayPal経由の入金が真っ先に打ち切られ、程なくしてVISAやMasterなどの主要クレジットカード会社からの入金もできなくなった。今回の閉鎖の理由としては、表向きには「WTO加盟に伴うロシア政府からの要請」ということなのかもしれないが、資金ルートを断たれた痛手がかなりのものであったことは想像に難くない。
今回のケースは、何らかのかたちで今後のケーススタディになるのだろう。どっかの業界団体が政府にロビイングを行いそれなりの支持を取りつければ、どっかの国のどっかの企業が行っている何がしかのWebサイトのビジネスを簡単に潰せてしまうということが改めて証明されたわけだから。世界のカネを動きを押さえている米国だから出来る話であるとも言えるけれど。
別にAllofmp3の肩を持つつもりはないが、「合法か違法なんて面倒な話はさておき、カネの流れを止めちまえ」的なこうした動きを見せられると、一般消費者としてはやや引く。今後はきっと、こうした話題にISP側の動きも加わってきて、状況がさらに混沌とするのだろう。
リアル・マネーを前にしては、「ネットの中立性」など単なるファンタジーでしかないのかもしれない。
要らねえモン同士の物々交換
「日本初の音楽CD交換コミュニティ」と銘打たれてオープンしたdiglog。着想はなかなか面白いと思うので期待しているのだが、現状では正直今ひとつといった印象だ。既存の音楽産業に配慮しているからなのか、運営者自身がアフィリで稼ぎたいと思っているからなのかは知らないが、微妙に思い切りに欠けているように感じる。
現状でユーザーが公開しているリストがろくなもんじゃないとか、そのあたりは致し方ないとしても、「譲ってもいいよ」というモノ同士を交換しあうという運用スタイルそのものが、どうもモヤモヤする。そのへんの「ゆるさ」を敢えてねらっているのかとも思うが、結局のところ、そのゆるさがコアなファンを遠ざけてしまうのではないかという気がしてならない。
もしかして、くだらない作品がチャートの上位を占める日本の音楽シーンに対するアンチテーゼ(=メジャーどころは金払ってまで聴く必要なし)なのかな。
「もう要らない」ってモノじゃなく、「手放したくない」ってモノを流通させる手はないものだろうか。難しいのは百も承知だが。このサービスに限ったことではないが、最近のネットを見ていると、本当に必要な情報なりモノなりはむしろ自分からどんどん遠ざかっているような感覚を覚える。その1つ下の「あってもいいが、なくても困らないモノ」が大量に流通しているような感じ。
そういうモンでしょと言われてしまえばそれまでだけど。
MindMeister正式版登場に思う
Webブラウザで利用できるマインドマップ・ツールMindMeisterが、ついに正式版になって公開された。
以前から告知されていたように、やはりライセンスは無料のBasicと有料のPremiumの2本立て。Premiumの料金は年間49.90米ドルだという。これは結構微妙な線だ。
BasicとPremiumの大きな違いは、作成できるマップ数の上限の有無(Basicは6つまで)と、ローカル用のマインドマップ・ツールであるMindManagerやFreeMindへのエクスポート機能の有無。とりわけ後者は、本ツールの最も優れた特徴の1つなので、使えないとなるとその魅力は半減してしまう(インポートはBasicでもできるらしいが)。
実はこのMindMeister、ベータ期間を利用して仕事でガンガン使っていた。あるシステム開発の要件を定義するために、社内の人間とマップを共有しながら互いに書き込みを入れながらミーティングを進め、できたマップをFreeMindに書き出して整理したうえで業者さんに渡すというスタイルで作業を進めてきたためだ。こういうやり方ができたのも、「最後にローカルに書き出せばいい」という“出口”に対する安心感があったからこそだと言える。
その意味でこのツールの価値は十分認めているのだが、ユーザーごとのライセンス料が必要ということになると、話がちょっと変わってくるなあ。
こういうコラボレーション・ツールは、はっきり言って「仕事でしか」使わないので、会社に請求を回したいのだが、日本の会計処理と海外のWeb系サービスの決済方法は相容れない部分が多く、何かと面倒なのだ。一時金ならなんとかできても、年ごとや月ごとの支払いが発生するとなるとなかなか稟議が下りない。「クレジットカード支払いの後、経費精算」ってのもスマートじゃない。
このあたり、一般の日本企業はどう処理してるんだろうか。今後、Webコラボレーションを本格的に活用しようとすると、これはかなり大きな障害になると思うのだが。
一方、今回の1.0の公開に合わせて、マップ作成機能のほうも多少グレードアップされた。フォントのサイズやスタイルが変えられたりブランチにノートを添付できたり、それなりに便利にはなったが、期待していたブランチ同士のリンク機能などは盛り込まれなかった。この点だけを見ると、多彩なマップが作れるという点では依然Mindomoのほうが上かなと思う。
結局のところ、Basicの機能だけなら、何もMindMeisterを使わなくてもよいと思うし、かといってPremiumのライセンス料を個人の財布で買う(かつ仕事仲間にも買わせる?)のも敷き居が高い。
1人だけPremiumを購入し、ディスカッションした後でその1人がすぐにローカルへエクスポート──って感じでやればいいのかな? いずれにせよ、頭が痛いところだ。
Kayudaに見るWebコラボレーションの可能性
昨今は、Web上でコラボレーション的な流れが熱いのだろうか。なんだかいろんなサービスが続々と出ていて、すごいことになっている。最近では、そういう動きを追いかけることすら面倒くさくなっているが、そんななかでも、密かに期待しているのがこれ。
開発元によると、ヴィジュアルWikiであってマインドマップであってライティング・ツールである──ということらしい。ピンと来ない人もいるかもしれないが、ローカル環境でTinderboxを使っているわたしにとっては結構ツボだ。ポンポンとカードを作り、それらを平面上に並べたり、関連づけたりできる。
似たようなツールとしては、ほかにThinkatureなどがあるが、個々のカードにテキスト(ノート)領域を持つことができるという点で、Kayudaのほうがより広い用途に使えるような気がする。
トップページに書かれている今後のロードマップにも、タグやファイルの添付、検索などが挙げられていて、なかなか魅力的だ。
以前紹介したMindMeisterなど、マインドマップをルーツとするコラボ・ツールも決して嫌いではないが、個人的には「ブレスト」という用途に限れば、マインドマップはあまり適していないように感じる。議事録などの成果物をシェアするならいいんだけど。
その点で、Kayodaのようなカード型ツールには、大いに期待したい。
それにしても、Webツールの世界は、せっかく使い方を覚えても、すぐにもっと魅力的なツールが出てきてしまう。そういうライフサイクルの問題が、使い手から見ると大きなネックになってしまっているように思えるのだが。
Webマインドマップ・ツールの真打ち「MindMeister」
Web上で使えるマインドマップ・ツールは、すでにいろいろと出てはいるが、今までこれといったものには出会っていなかった。bubbl.usは比較的いい線いっているように思えたが、日本語がNGという致命的な欠点がある。
そんななか、「これはマジでいいかも」と思ったのが、今回紹介するMindMeisterだ。しばらく前から気になっていたが、この度無事にユーザー・アカウントが取得できたので、早速試してみた。で、下がスクリーン・ショット。
見た目は、MindManagerに近い感じだろうか。日本語も問題なく使えるし、フォントの色指定やアイコンの添付などもできる。このへんの操作性はデスクトップ環境に限りなく近い。
それから、何よりも素晴らしいのが、既存のマインドマップ文書のインポートに対応していること。このため、ローカルで作った書類をアップして、すぐに他人とシェアするなんてこともできてしまう。インポートは、MindManager形式またはFreeMand形式に対応しているので、あまり不自由はしなさそう。
一方、エクスポートのほうはRTFとGIFのみ対応。せめてXMLで書き出せればとは思うが、そこまで望むのは贅沢かもしれない。
もちろん、Webならではの制約もあるし、細かな機能やスピードなどではデスクトップ・アプリに軍配が上がるが、マインドマップが手軽に共有できるというのは、やはり大きな魅力だ。
ちなみに、このサービスはまだPrivate Betaの段階。試したい人は、トップページからNewsletterに自分のメアドを登録すれば、そのうちInvitationが届くはず(わたしの場合はすぐに届いた)。
マインドマップ好きの人はぜひお試しを。
Technorati Tags: マインドマップ
Gmailとのチキンレース(?)
今朝、Gmailにアクセスしたら、メールボックスの容量が99%になっていた。仕事もプライベートもメールはすべてGmailに転送しているから仕方ないけれど、これ、100%になったらどうなるんだろう。

気のせいかもしれないが、一般受付が始まってから容量の増加度合いがかなり鈍ったように思う。いかにGoogleといえども、ストレージ容量を無限に増やすわけにもいかないということか。
以前は「容量が足りなくなったら別アカウント作ればいいや」と簡単に考えていたが、これだけGoogle関連のサービスが立ち上がってしまうと、Gmailアカウントはもはや単なるメール・アカウントではない。RSSリーダーも、Notebookも、Googleパーソナルも、すべてアカウントを切り替えなくちゃならなくなる。もちろん、過去のメールを検索するのも厄介になる(第一、それがしたくてGmailに転送しているのだから)。
結局のところ、古いメールを1通ずつ消すしかないのだろうか? 金払えば何とかしてくれるつもりなのだろうか? こういうチキンレースは嫌だなあ。
allofmp3の値上げ
先日、急にThe Clashの『Sandinista!』が聴きたくなり、allofmp3を覗いた。CDも持っているんだけど、最近こういうときはもっぱらこのサイトにお世話になることが多い。自分でエンコードすればタダなのだが、どうも面倒臭くて。。。
だが、サイトに行くと、どうも様子がおかしい。値段が6.15ドル(!)もする。案の定値上げされてしまったようだ。2セント/MBから3セント/MBに。『Sandinista!』 は全36曲、144分という大作なので、値段変動の影響をもろに受ける。これでは、レンタルより高い。
結局、allofmp3での購入はあきらめ、時間のあるときに自宅でエンコードすることにした(ケチ)。
実は値上げは今回に限った話ではなく、2年近く前にも1度行われたことがある(思えば、それ以前は1セント/MBという“極楽価格”だった)。
allofmp3をはじめとするロシアのダウンロード・サイトは、今や世界の音楽産業から目の敵にされているから、いつまでもグレーゾーンにとどまって商売を続けていくわけにはいかなくなったということか。。。
これからは無駄遣いを減らさなければ。
しかし、 この値段だと、さすがにロシア国内のリスナーは苦しいのではないかなあ。
PANDORAの箱「Squeezebox」
知らぬ間に、Last.FMのクライアント・ソフトがアップデートされていた。再生曲のアーティストについての紹介文が表示されたり、タグがより便利に使えるようになったりと、また一段と便利になった印象だ。
最近はジャンルではなく、catchyとかwarmとかcoolとか、形容詞系のタグを入力してLast.FMを聴くことが多い。ちなみに今朝は「Autumn」と入力して聴いてみた。確かに秋っぽい曲が流れる(外れもあるけれど)。
こうなると、欲しくなるのがLast.FM専用ボックスだ。ちょちょいとタグを打ち、すぐに曲が流れ出すようなものが理想的。「そんなモノねえよな」と思いながらググったら、Last.FM向けではなく、PANDORA用の「Squeezebox」なるモノを見つけた。Wi-Fiを通してPANDORAをオーディオと接続して聴けるらしい。うーん、なかなかよさそうだ。
Slim Devices : Product Info : Squeezebox
値段は$249。iPodをつなぐスピーカーに金使うぐらいなら、こっちを買ったほうが楽しそう。酒場などに置いてもらえたら、それはそれでいいかもしれない。できれば、日本の家電メーカーにLast.FMボックスを作ってほしいところだけど。



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