産経とiPhoneとメディア・ビジネス
気がつけば、年の瀬がもうそこまで迫っている。今年はほんと公私ともに振り回されっぱなしだったが、その分だけ、いろんなことを考えたし、また教えられもしたように思う。もう少し落ち着いたら、そんな「あれやこれや」もちょっとずつ記していこう。
それはさておき、昨日職場でもかなり話題になった産経新聞のiPhone向け紙面配信。何人かは「オレもiPhone買おうかなあ」とかなり真顔で考え込んでいた。わたし自身も、産経新聞&産経デジタルのここ最近の尖鋭的な取り組み(というか、開き直りっぷりというか)には注目していたので、「なるほど、そう来たか」と素直に関心した。
産経がどこまで深く考えているのかはもちろん知らない。案外、勢いだけなのかもしれない。けれど、デジタル・デバイスの特性や、新聞社の強み・弱みを冷徹に見据えたうえでの戦略だとしたら、結構手ごわいのではないか。そんな気がする。
やってることは至って単純だが、少し考えれば、これは現状、プラットフォームがiPhoneだからこそ成り立つモデルであることがわかる。相変わらずインフラで儲けようとしている国内通信会社であれば、これだけのトラフィックは許容されないだろうし、そこを突破できても相当中抜きされるのは目に見えている。かといってGoogleなどが進める完全オープンな世界はと言えば、今度は権利者が恐れを為してしまう。端末そのもののコントロールが利かないWindows Mobile機も同様に難しいだろう。
クローズドな端末とディストリビューション・センターを押さえるアップルと、インフラの“土管化”を(今のところ)容認しているソフトバンク。不完全とはいえ水平分業型の市場が誕生したことで、はじめて成り立つ配信モデルではないか。
ただ、こういうモデルは、往々にして「稼げそうだ」となった瞬間にいろんな人がシャシャリ出てきてダメになりがちだからなあ。。。産経には、そのあたりも含めて、頑張っていただきたいと願うばかりだ。
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