IN MY ROOM…

ストリート・ビューに対する嫌悪感は、民主社会への恐れの表出でもある

Posted in life, web by DorG on 2008/08/10

Googleのストリート・ビューに対する議論がなかなか収束しない。否定派の意見にも一理あると思うけれど、個人的には、この種の問題に対して「どちらが正しいのか」的な議論はとっくに決着についたものだと思っていたので、やや意外に感じる。

乱暴に言ってしまえば、「今になってプライバシー問題を盾に反対を唱えるなら、なぜもっと早い時期に声を上げないのか」ということ。ちょっと考えれば、いまの情報化社会がそういう方向に向かっているのは自明だし、さらに言えば、我々はプラス側の恩恵をすでに十分に享受してしまってもいる。

食品偽装問題のときにも同種の問題を感じて少し書いたし、それ以外にも後期高齢者医療制度だとか雇用問題だとかを巡ってもそう感じるのだが、少し立ち止まって考えれば自明であるはずのことが実際に明るみに出たときの過敏な反応には、かえって不安を覚えてしまう。

プライバシーの問題で言えば、例えば、テレビの事件報道などで、最近頻繁に放送されるようになった監視カメラの映像。あんなもののほうが、よほど気味が悪いと思わないだろうか? 

いま人気のiPhoneだってわからないよ。個体識別番号とインターネットへのアクセス履歴と位置情報をあれほどシームレスにリンクさせられる端末はこれまでなかったのだから。

もしかしたら、情報入手の経路が広がるなかで、我々の反応は知らず知らずのうちに即時的になってしまっているのだろうか。

それからもう1つ。ストリートビューに対する拒否反応に接して残念に思うのは、その背後に「だれもに見られるのはイヤ。でも、お上がこっそり監視するのはOK」というような意識が見え隠れすることだ。

そんな状態で、いったいだれが中国を嗤えるというのだろうか。

もっとも、わたしもGoogleのサービスに問題がまったくないとは思わない。だが、あまりにナイーブな反応を続けていると、昨今のネット規制議論などとも絡んで、ちょっと厄介な問題に発展するのではないかと思うのだが。

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